7月13日 その3
7月13日(水) フィレンツェ
ボーボリ庭園で気分転換
ムカムカした気分でいたので、中庭からボーボリ庭園まで登る階段も勢いで上がってしまった。母にも歩きながら状況を説明した。全く頭に来ること!階段を上がってアーティチョークの泉のところから見ると、ボーボリ庭園はなだらかな(?)丘になっていた。え?坂道登らないとダメなの?TV番組で見る限りこんな風な坂だとは全然思いもしなかったのだ。なんせ持久力がない私。坂道、長距離って言うのが苦手なのである。でも、せっかく来たのに下から眺めただけではねぇ…と思い直し、母にも「せっかく来たのだから、あの上の人がいる噴水のところまでは行ってみようよ。階段じゃないから、いくらかはいいでしょ?」と提案した。
それにしても、ボーボリ庭園は、肺病になった奥方の静養のためにと作られたとTV番組で紹介されていたけれど、こんな坂ばかりじゃ、奥方も庭を眺めるだけだったのかしら?と母と話した。母は母で、そういう奥方なら、輿などで担いでもらって移動したんじゃないの?と言う。ふむ、それもあり得たかもしれない。坂を上り始めたら、芝生の中にネコが1匹。手を舐め、体を舐め、と毛繕いをしている。ホンの3〜4m先にいる。イタリアでもネコは「ニャ〜ン」で通じるかしら?と思いつつ「ニャ〜ン」と声をかけてみた。やっぱり日本語風の鳴き方ではダメだったのかも?振り向きもせずに今度はゴロゴロと寝返りを打って、自分の世界に浸っていた。
一見なだらかな坂に見えたけれど、実際に登ってみると結構な勾配。ともかく、地図を見る限り少なくとも一番近くの泉までは行かねば話にならんと思い、母を励ましながらなんとか登った。池の真ん中には、三叉を持ったネプチューン(海の神)がいた。そしてその先にはまだ階段があり、女神像が立っている。この炎天下では、そこまで行く気力もなかった。写真を写して、今度はピッテイ宮殿の方へ向き直った。すると…そこには両端を緑に囲まれた(というように見える)宮殿が見える。視野の両側を緑に遮られているお蔭で、奥行きが更に感じられた。
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| 三叉の泉 | 池の向こうの丘の女神像 | 三叉の泉からピッティ宮を見下ろす |
この景色を見たので、もう庭園内は(坂ばかりだし)充分と思ったので、徐々に下へ下っていくことにした。その前に少し疲れたので、近くにあったベンチに座った。水を飲んで一息ついた。隣に座っていた女性に母がキャンディをお裾分けしている。外国語は殆ど喋れないくせにこういうところだけはコミュニケーションを図るのである(笑)そして…判らなくなると私に押し付けておしまい(苦笑)。以前、インドへ行ったときもそんな感じだったので、空港でやや険悪な雰囲気になったことがあった。そんな前例があったので、釘を刺しておいたのだけれど、今回は女性が席をずらしてくれたので、お礼を兼ねてと言うことだったのだろう。キャンディを渡していたら、いつのまにか旦那さんもやって来て、一緒に食べ始めている。あちらもゴソゴソしているなぁと思ったら「アイルランドのキャンディだ」と言って、幾つか私達も戴いた。戴いたのですぐに口へ入れたけれど、味は…。ノーコメントとしておく(笑)。
ご夫妻とはお互いに「良い旅を」と言って別れた。同じ道を下ってもつまらないので、脇道を下ることにした。看板を見ると「カフェテラス」と矢印付きで出ている。私達はてっきりそこでお茶でも出来るのかと思ってしまった。喉も渇いていることだし、下りの途中で有ったら、寄ってみようかと話がまとまった。
貸切の絶景ポイント
坂をどんどん下っていくと右手になんやら建物が見えてきた。どうやらここが「カフェテラス」らしい。よし、下から回り込んでみようと、木の間を抜けていったら、そこには絶景が拡がっていた。足元には芝の庭園が拡がり、その向こうには木々があって、更にその向こうには、ジォットの鐘楼、ドゥオモ、ヴェッキオ宮殿の塔が見える。なんと、フィレンツェ市街を一望できるのだ。よく見るとその向こうにはメディチ家礼拝堂も見える。そして旧市街の向こうにはトスカーナのなだらかな山が拡がっていた。フィレンツェ市内を見下ろすビューポイントとしてミケランジェロ広場が有名だけれども、このボーボリ庭園の中からの眺めも素晴らしいと思う。アルノ川の眺めは見えないけれど、手前に緑がある。それに…何と言ってもここは人が全くいないので、私達親子の貸切状態だった。現に下っていくと、見下ろしていたドゥオモが段々と自分の目の高さになっていくのが実感出来て、益々良かった。
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| カフェテラス前からの眺め | メディチ家礼拝堂とトスカーナの山々 | カフェテラス |
さて、肝心のカフェテラスは、というと昔の人々のためのカフェテラスであって、現代の人のためのものではなかった。ちょっとガッカリ(笑)。ちょっと考えれば判るのだけれど、こういう庭園内に飲食させるところがあるのがおかしいのに気がつかなかった私達もおバカさん(苦笑)。それにしてもここにカフェテラスだなんて「絶景かな!絶景かな!」と石川五右衛門よろしく叫んでしまいたくなる。緑のきれいな時期はこのボーボリ庭園からの眺めがお勧めだと思う。それにしてもなぁ〜、ここで優雅にお茶したかったな(笑)。
ネコの楽園
私達親子で独占の景色を楽しみながら少しずつ下に降りていくと、またもやネコ発見。むむ…あの格好は…。トイレだぁ〜。ボーボリ庭園がトイレ?それも、こんなに眺めのよいところが?なんたる贅沢。そんな贅沢をしているネコを写真撮ろうとしていたら、立ってしまって穴を埋めている。ヨシヨシ。ネコはそれだけは偉いと思う(笑)でも、私の方に向かって歩いてきたネコの顔を見ると眉間の辺りが色が濃くなっている。まるで眉間に皺を寄せているかのように見える。う〜ん、ダンテの様に考えごとばかりしているネコなのかしらん?(笑)。ふと、周りをみるとネコがウジャウジャいるのに気がついた。人間がいようと、近くに寄ろうとそんなのは知ったことじゃないって感じであっちでゴロゴロ、こっちでゴロゴロ。どうやらここはネコの楽園らしい。
出口らしい階段を見つけた。母を上に残して試しに私が下まで降りて行き、様子を見てくることにした。せっかく降りたのに出られないなんてことだとまた登るのが大変だからだ。木々の間の階段を下りていくと、あっちの手すり、こっちの手すりにもネコネコネコ。ネコの置物って感じ(笑)。目の前の手すりにスフィンクス状態でいたネコに声をかけたけど知らんぷり。鳴き声をマネしてもダメ。絶対に私の方を向かない。諦めて更に下へ行ったら、どうやら下へ通じる階段だと判った。上へ上がって母へ声をかけたら、いつの間にか来た外人さんのグループが一緒になって降りてきた。どうやらその外人さん達も下へ行けるのかどうかと思っていたらしい。そこへ下から声がして母が降り始めたので、これ幸いと一緒になって降りてきたみたいだ。母が降りてきたので、さっきの決して振り向かないネコのところをまた通ることになった。ネコは私が遠くにいると観察しているようだったけれど、近くに行くとまたそっぽを向いている。ま〜!気まぐれなネコだこと。「向かぬなら、向かせてみせよう…」って感じで喧嘩を売る時の鳴き声をマネしたりしたけれどもダメ。仕方ないので、その根性に敬服して(?)横顔の写真を写してきた。それとも…横顔が『ウリ』のネコだったのかしら(笑)。
やっと出口へ
階段を降りていったら、アーティチョークの泉の近くのブックショップの脇に出た。あ〜、なるほどねぇ〜って納得。庭園を登る前にこの階段の存在には気がついて、どこに繋がっているのかなと思っていたのだった。その結論は偶然とはいえ、自ら出した。さて「Uscita(=出口)」という標示に従って歩き始めたけれど、それがまた簡単には出口には辿り着かない。ぐる〜っと回り道して出口へ繋がっている。それにしても、この庭園は手入れが良く行き届いている。さすがだなぁと思う。出口のところには庭園管理の業者の車らしいのが数台止まっていたし、庭園の上の方では、草刈機が動き回っているのが見えた。排水溝も昔のものをそのまま使っているけれど、しっかりしたものだから現代にもそのまま通用するものなんだなぁと改めて当時に技術力の高さに驚いた。
やっと出口が見えてきた。あ!『バッカスの泉』が見える。本当は小人モルガンテなんだそうだけれど、フィレンツェ市民からは通称バッカスで通っているらしい。ふと右手をみるとなんやら彫刻の見事なところがある。ガイドブックでみると『ブオンタレイの洞窟』となっている。外観だけでも凝った細かい彫刻。まるで鍾乳洞の一部が外に出たようにも見える。中にも彫刻らしきものがうっすらと有るのが見えるけれど、そこまで歩いていく元気がなかった。洞窟の左側にはドアがあったのに気がついた。帰ってきてから調べると、なんと、そこがヴァザーリの回廊の終点だった。また、洞窟の中も彫刻が素晴らしいとホテルに戻ってから公式ガイドブックをよく見たら書いてあった。これは次回への宿題として残すことにしよう。
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| 通称「バッカスの泉」 | ブオンタレイの洞窟 左のドアがヴァザーリの回廊の出口 |
彫刻のアップ |
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