7月13日 その5
7月13日(水) フィレンツェ
タクシーでホテルへ
私も母もかなり疲労の色が濃くなってきた。そこで、タクシーでホテルへ帰ることにした。教会の外観の写真もそこそこに写して教会前の広場へ出た。幸いなことにこの広場にはタクシー乗り場があって、タクシーが数台待機していた。そのため、バールなどからタクシーを呼んでもらう必要がなくて楽だった。乗り込んで大きな溜息。ホッとしたのと、疲れきってしまったからだ。フィレンツェ旧市街の中は一方通行があったり、乗入れ禁止の場所があったりと色々複雑だ。直線距離にすると近いのだけれど、どういう風に帰るのかなぁと興味もあった。それにしても、自転車でもそうだけれど、自動車でこの街中を走り回るなんて私には逆立ちしても出来っこない。止まっている車、脇をすり抜ける自転車が多過ぎるのだ。どこをどう行ったのかは判るまでフィレンツェ市内を熟知していないので、なんとも言い様がないけれど、気がついたら、サン・マルコ美術館(サン・マルコ修道院)の前のサン・マルコ広場に居た。この広場をぐるりと回って方向転換したのだ。なるほど、外側を上手く回って帰ったのだなぁと言うことだけは理解できた。
タクシーの中で私は大きなくしゃみをしてしまった。とたんに「Salute!(サルーテ、健康という意味の語)」と運転手さん(ちなみに彼もスキンへッドにサングラス)に言われる。「Grazie!(=ありがとう)」と言った。へぇ、本に書いてあったけど、本当なんだぁと実感した。英語圏でくしゃみをすると「Bless you」と言われるとのことだけれど、今迄言われたことはなかった。だからこれは初めての経験(^^)。
間もなくホテル着。グッタリ。部屋に行く前にフロントに「ウフィツィ美術館の予約は取れたか」聞いてみた。連絡がないから、多分無理だろうと思っていたのだけれども念のため。フロントにいたのは頼んだ人ではなかったので、最初はイマイチ意味が判らなかったみたいだけれど、「取れなかった」との返事だった。やっぱりね〜。こりゃ〜、並ぶしかないな。ホテル向いのお店にグラニータを買いに行く気力もなく、前の日に買っておいたコーラと水を飲んで一休み。8時にKさんがホテルに来てくれることになっているので、それまで暫く仮眠することにした。母も可哀想なくらい歩かせちゃったけれど、頑張ってくれた。早く横になって、足を上げれば楽なのに、買ってきたブレスレットをまた出したりしていじっている。も〜、好きにさせておいた(笑)
私は寝ころびながらガイドブックを眺めたりして、見てきたものを再確認したり、説明を母に読んで聞かせたりしていた。
久しぶりの再会
8時過ぎに部屋の電話が鳴った。出るとフロントからだった。「Kさんが…(名前の部分は日本語で言っていた)」とたどたどしく話をし始めたと思ったら、すぐにKさん自身に替わった。すぐにフロントへ向かう。もし、Kさんの都合がよければ夕飯を一緒しましょうと提案するつもりだった。母も日本から持ってきた和菓子を持って部屋を出た。フランスでは和菓子は買えるけれど、イタリアでは和菓子は売っているところはないそうだ。特に餡こを使ったお菓子は在伊日本人にとっては貴重なものだと知ったので、ちょっと謂れのあって美味しいお店の最中を買ってきたのだ。
あれ?Kさんにそっくりな人が…と思ったら、傍らに本物のKさん。母を紹介して、美術館の予約のお礼を言った。そっくりな人は姪っ子さんとのこと。前回散歩中で会えなかった犬2匹も一緒。姪っ子さんは夏休みを利用してフィレンツェに来ているとか。なんとも羨ましい話だ。Kさんは仕事で日帰りで地方に行っていて、電車で帰ってきたので、姪っ子さんと合流してホテルまで来てくれたそうだ。それにしてもKさんは相変わらずオシャレな人だ。スラリとしていて洗練された格好。なんとも羨ましい。
美術館の感想を話し、お礼を言った。母から最中を渡してもらう。由来のある名前の最中なので母が簡単に講釈を述べると関西出身のKさんは「なるほど〜」と聞いていた。「夕飯を一緒しながらお喋りしませんか?」と誘ったけれど急だったし、帰ってきたばかりで家ですることがあるのでということで、また次回に(その前に秋に銀座で開かれる画家である旦那さまの個展で会う方が先かな?)。その代わり、ホテル近くで美味しいというお店を教えてくれた。なんとホテルの斜め前のお店。手打ちパスタのお店だそうで、Kさん自身は行ったことないけれど友人から聞いたとのこと。それでは、とKさん達を見送りながらその足でお店に直行。
穴場の店
入口のところにメニューが掲げてある。フム…まぁ、とりあえず入ってみよう!入ると壁一面に絵が掛けられている。風景画、ローランサン風の絵、抽象画などさまざま。座った席からは、厨房の一部が見えた。メニューを早速見始めた。母はあまり食べたくないと言う。薬の効きが悪くて、出るものが出ないので食欲が無いようだ。Kさんからお店のことを聞いたとき、最近のイタリア人もあまり量を沢山食べなくなり、パスタとサラダとドルチェくらいで終わりにする人も多くなったので、最近は色々と頼まなくてもお店もいやな顔をしないから大丈夫と聞かされた。ともかく1人前の量が多いので、2人で分け合っても充分なのがイタリアの量なのだ。
母に何を食べたいか聞くと、新鮮なサラダと返ってきた。そ〜じゃなくて、パスタとかって意味で聞いたのに…。「任せるわ〜」との(無責任な?)ご依頼なので、ラザニアを注文。手打ちパスタがお勧めならば、パスタは必然でしょ。ついでに「チーズが嫌いなのでチーズ無しにしてくださいね」と追加。すると、大丈夫だとのこと。チーズは後でかけるらしい。それと、サラダとドルチェ。ホントはワインを頼みたいのだけれど、2人とも下戸なので、ミネラルウォーターにした。料理は「シェアしたいので…」と言ったら大きく肯いてくれた。
水を飲みながら寛いでいると、奥から次々と人が出てくる。どうやら奥にもテーブルがあるらしい(翌日店の構造は判明した)。私達のテーブルからは大きなかまどが見える。見ているとひげ面のシェフが大きな肉の塊を切っている。切り分けた後、軽く筋を切るように包丁を入れ軽く塩胡椒。かまどには網が乗せてあって、ふいごで火力を増してから肉を乗せて焼き始めた。何度か串で摘み上げ、焼き具合を確かめていた。そこまでは私も見ていたのだけれど、頼んだサラダが来たので、注意はそちらへ逸れてしまった(笑)。「オリーブオイルでいいですか?」との事だったので、それでお願いする。普段家でもグリーンサラダはオリーブオイルと醤油というシンプルな組み合わせで食べているので、「シンプル イズ ベスト」と思っている。見ていたら、カウンターでオリーブオイルと軽く塩、バルサミコ酢を掛けたのを持ってきてくれた。
早速取り皿に取り分けて食べ始めたら、ラザニアが来た。私はてっきり1人前しか頼まなかったので(どの店でもそうだけれど)取り皿を渡されて取り分けて食べると思っていた。ところが、この店の対応は違った。キチンと半人前ずつお皿に分けてくれている。うわ〜!感動。こんな僅かしか注文しないお客にまで気配りしてくれるなんて。それだけでもこの店はマル。更にラザニアを口に入れたとたんに「Buono!(=美味しい)」。パスタもしっかりしている。味も程よい。いいお店を紹介してもらった。やっぱり地元の人の口コミはさすがだ〜!サラダも、日本の葉っぱよりも味がしっかりしている。やっぱり食の国、イタリアだわ〜と実感。
食べていたら、すぐ脇をステーキが通った。正確にはステーキを持ったカメリエーレ(ウェイター)なんだけれども(笑)。少し先のテーブルの家族連れへと運んでいった。見るとレアっぽい焼き具合。う〜ん、今夜は無理でもそのうちチャレンジしたいと思った。なんせレアのステーキには目がない私。でも、フィレンツェ風のステーキは大きいので有名だから2人でシェアするのは無理かなぁ?とも思ったりも…。
ラザニアもサラダもペロリとたいらげた。美味しかった。満足〜!お皿を下げに来てくれたのはいいけど、ドルチェまだ?もしかして忘れちゃったのかも?と思って声をかけたら、やっぱり忘れていたみたい。何があるか聞くと、ティラミスがあると言う。母は早速それにして、私はチーズは苦手なのでチョコレートケーキとカフェを注文。
ラザニアを食べている途中で、サングラスをかけた小粋なおじいちゃまが入ってきた。奥に入っていったかと思うと厨房に声をかけたり、奥から出てくるお客達を見送りに出たりしている。もしかして、この店のオーナーなのかもね、と母と話をした。きっと毎日お店に顔を出してお客と喋ったり、お店の様子を見たりしているのが生き甲斐なんだろうな。それにしても、ピシッとスーツ着てオシャレなおじいちゃまだ。
間もなくドルチェ登場。味は…も〜!最高。とっても美味しかった。うっかりとこの晩はカメラを持ってこなかったので、残念ながら写真は無し。実物を見せられないのが残念。エスプレッソで最後を締めておしまい。う〜ん、満足〜!料金も良心的。また来たくなった店だった。チップを渡してホテルへ帰った。
翌日の計画
外は夜9時半過ぎなのに、まだうっすらと明るい。昼間に比べるといくらか涼しくなってきた。それでも暑がりの私達なので、冷えた部屋に入るとホッとする。お風呂に入って頭がボケボケしないうちに明日の予定を母と確認。
ウフィツィ美術館に並ぶのは、夕方にすると決めた。朝7時くらいに並ばないと9時前には入れないとKさんから聞いたからだ。最初はそれも覚悟したけれど、よく考えた結果、夕方に元気があったら並ぶことにした。万が一見れなかったら、それは次回への宿題としておこう。14日は、母が一番見たがっていたドゥオモ内部から見ることにした。10時にならないと中に入れないので、9時半頃にドゥオモのところに着けば、余裕を持って外観の写真を写せる。ジォットの鐘楼、サン・ジョバンニ洗礼堂など被写体はいくらでもあるからだ。そうなると逆算していくと、ホテルを出るのは9時頃、朝食を食べに行くのは8時半頃で充分。そうなると必然的に朝はゆっくり寝ていられる。
行きはブラブラと見ながら、元気のあるうちに歩くのでなんとも思わないけれど、あちこちじっくり見て歩く我々親子は、夕方にはかなり疲れてしまう。そこで、帰りはポンテ・ヴェッキオ(ヴェッキオ橋)のところから「D」のミニバスに乗ってぐるっと回って車窓を楽しみながら帰ってくることにした。バスのチケットはおそらく運転手さんから買えるのかもしれないけれど、駅まで数分と近いことだし、チケット売り場も判っているので朝食後私が1人で買いに行くことにした。その間母はロビーのソファで待っていればいいのだし。これでザッと翌日の行動が決まった。安心して眠れる。
それでは、おやすみ〜!
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