7月16日 その2
7月16日(土) ヴェネツィア
素顔のヴェネツィア
広場を出る前にもう一度サン・マルコ寺院に近寄ってみた。見れば見るほどキリスト教寺院には思えない。モザイク画がなければ異宗教のものだと言っても違和感はないのだから。入口の周りにもぐるりと彫刻が施されている。駱駝を始めとして、ヨーロッパでは決して見ることのない動物や植物、人間の彫刻がある。かつて一世を風靡したヴェネツィア共和国の片鱗を伺い見ることが出来る。
広場の周りのアーケードは、地元の人が歩いているだけだった。店は全て閉まっていて、柱の間から射し込む日差しの中を、荷車を引く人、シスター達、仕事に向かう人など、何気ない朝の景色がヴェネツィアの素顔のような感じがした。広場を抜けてメルチェリエ通りに入った。ここも昼間は沢山の人が行き交う道だけれども、通っているのはまばら。脇道の小路などは人っ子一人歩いていない。小さな運河の橋のたもとで、上を見上げるとおばあさん(ノンナ)が窓から顔を出していた。早朝からウロウロとしている東洋人の私が珍しかったのかもしれない(笑)。手を振ると振り返してくれたので、下まで行って「Posso fare una fotografia?(=写真1枚いいですか?)」と聞いてみると「Si(=いいわよ)」と笑顔で返事が返ってきた。別にどうってことのない普通のおばあさんだけれど、なんとも味のある顔つきをしていた。望遠にしてアップで写真を写した。どんな風に自分が写っているのか、当の本人は知らずじまいだけれど(笑)。
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| 朝のアーケード | 誰もいない路地裏 | 窓からおばあさん |
最近は何気ない地元の人の写真を撮るのも楽しいものだと思えてきた。以前の私はどちらかというと建物や遺跡、景色等しか写さなかった。でも、シルクロードで写してきた友人Nさんの写真を見て、「地元の人達の表情を写すのもいいものだなぁ」と思うようになったのだ。それでも、なかなか人物を写すのは難しい。狙って写すのは不自然になってしまうからだ。でも、今回のイタリア旅行では数枚、人物の入った写真で気に入ったものが写せていたので、大層嬉しくなった。
リアルト橋のバポレット(水上バス)乗り場のところに出たら、さすがに人がパラパラといた。朝の犬の散歩をしている人やら、出勤して行く人など様々だった。イタリアの男の人はお喋りが好きと聞くけれど、実際かなり好きなようだ。
シェパードの散歩をしている男性も立ち止まって友人らしき人とお喋りに花が咲いている。私はシェパードを子供の頃飼っていたので、シェパードの姿を見ると嬉しくてたまらない。思わず立ち止まってしゃがみ込んで犬と同じ目線になり、写真を写し始めた。そんな風であるにも関わらず、ご主人の男性は私にはまるっきり気がついていなかった。犬はかなり飽きてしまっていたらしく、私の方を向いたり、そばに来ようとしていた。犬の綱がピンと伸びると普通は犬の方を見るのだけれど、その男性は見もせずに綱だけを引き寄せていた(笑)。やっと長いお喋りも終わったらしい。犬も綱がいくらか自分の自由になったので、私のところまでやって来て「おはようのキス」をしてくれた(笑)。う〜〜ん、さすが〜!イタリアの犬(笑)。飼い主の男性は見ず知らずの人間の顔を舐めたので、私が怖がったと思ったのだろう?犬に向かって一言怒ったので、慌てて「犬が好きだから大丈夫!」と言うと判ってくれたようだった。
愛想のよいシェパードと別れて、リアルト橋を渡った。サン・ジャコモ・リアルト教会の脇を抜け運河沿いに出てみた。すると前方の方の対岸にあるカ・ドーロの覆いが外されているのに気がついた。去年、今年とカーニバルの時期はカナル・グランデ側には覆いが架けられていたので、その館の美しさを見ることは叶わなかったのだ。これは、魚市場を見た後、対岸の真っ正面から見なければ!
魚市場にて
魚市場の手前には、野菜や果物などの市場があった。殆どのお店が、品物をキレイに並べ終え、あとはお客が来るのを待つばかりの状態だった。観光客用にもゴンドラの形をしたパスタの詰め合わせなども売っていた。また後でと思ったのだけれど、その時に買っておけば良かったかな?と少し後悔。
カナル・グランデに横付けされた船からはまだ続々と品物が降ろされている。船にはスイカや野菜がまだ山のように積まれていた。
こんなに沢山の品物があるのに、朝のうちで売り切れるのかしら?とやや疑問に思えたりも…。
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| 野菜売り場にて ズッキーニの花 | 荷物を下ろす人達 | トラゲット(渡し船)に乗る人々 |
市場の反対側にはトラゲットの乗り場があった。トラゲットとはゴンドラの形をした渡し船で、3本しか橋が架かってないカナル・グランデを渡る為の手段の一つでもある。立ち乗りが決まりだそうだ。いくらゴンドリエーレが2人いて、バランスを取っているから大丈夫とは言え、私にはやや不安な乗り物。ガイドブックには試しに乗ってみるのもお勧めと書いてあったりもするけれど、乗りなれない観光客がいると周りも迷惑ではないかな?と思ったりもする。
魚市場の中へ入っていった。当たり前だけれど、沢山の魚が並べられている。丸ごと、切り身と様々で、カニやエビ、タコ、貝など、さすが海の幸豊富なヴェネツィアならではの光景。どのお店もなるべく人目を引いて沢山の魚が売れるようにとキレイに並べている。ちぎったレタスの葉を魚の間に置いて飾りにしたりもしている。それにしてもこんなにも海の幸が豊富だなんて羨ましいくらいだ。魚屋さんのほうはまだ品物を台車に乗せて動かしたりしているので、準備はまだ終わってないようだ。大きな魚を捌き始めた男性がいたので、正面に回って写真に収めた。やや意識しているかなって感じ(笑)。
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| 魚市場の売りもの | レタスを飾っています | 魚をさばくおじさん |
はじまで歩いたので、カ・ドーロの正面に向かうことにした。2年越しの念願がやっと叶った。前の日に水上バスに乗ることが出来ていたら、その時点で気がついたのだけれど、ショーペロ(ストライキ)の為、水上タクシーに乗ったためにこの前は通らなかったのだ。かつては黄金で装飾されていたそうだけれど、この白亜の状態でもなんとも優美だ。500年以上も前に建てられたなんて信じられないほどだ。それにしても、「美しい」というしか言葉が出てこない。イヤ、イタリア語での最上級の「ベリッシマ!(非常に美しい)」という賛辞が最も相応しいだろうか?今は内部はフランケッティ美術館になっているそうだけれど、そのうちまたヴェネツィアを訪れたら内部の美術館を堪能したいと思う。叶うことならば、あのバルコニーからカナル・グランデを見下ろしてみたいものだ。
アップにしたり、全体を写したりと、納得できるまで写せた。これも朝早いから、船の航行も少ないので出来たことかもしれない。早起きは三文の徳とはよく言ったものだ(笑)。今日の散歩は三文以上の価値がある。カ・ドーロの対岸は普通の家が並んでいた。毎日こんなに美しい館を眺められるなんて、なんとも羨ましい限りだこと!ドアになんやら貼り紙がしてある。ところどころの単語から考えると、どうやら「犬猫のフンを置き去りにするな!」ということらしい。どこも一緒で困った問題なんだなぁ。ヴェネツィアでも足元に気をつけながら歩いた方が良いと聞くけれど、幸いなことに私はまだ一度もお目にかかったことはない。
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