7月16日 その4

7月16日(土) ヴェネツィア

まさかの再会
朝食後、その足でドゥカーレ宮殿に向かった。ホンの2時間ほど前、サン・マルコ広場はガラ〜ンとしていたのに、すでに沢山の観光客が歩いていた。あの殆ど人が歩いていない、朝の柔らかな日差しが射し込んでいたアーケードはすでに喧噪に包まれていた。今朝の光景は幻だったのだろうか?
びっくりマークサン・マルコ寺院の前で、見覚えのある2人組を発見。昨日、ヴェネツィア駅から一緒に水上タクシーで相乗りした2人とばったり再会。見どころが沢山あるヴェネツィアで、約束もせずに再会をするなんて、殆ど不可能に近い出来事なのに、これも縁と言うものなのだろうか?少し立ち話。その晩にある花火大会のことも話題に出た。彼女達は11時からと聞いていたようだった。でも、翌日の朝早くにヴェネツィアを離れるそうなので、おそらく見ないだろうと話していた。お互いに昨日別れてから見たもの、これからの予定などを簡単に報告しあった。話を聞く限りでは、あちらもなんだかんだと観光を楽しんでいる様子。でも、私達のようにカフェでマッタリ過ごすって事はしていなかったようだった。折角出会ったのだからと、写真を撮りあって住所を交換してきた。

ギンギラギンの太陽サン・マルコ寺院の前はすでに長蛇の列この強い日差しの中、待つのはかなり体力的に辛いと思う。ドゥカーレ宮殿を見終わった後、その時点で列が短かったら、サン・マルコ寺院に入ることにした。私は今回でヴェネツィアは3回目となるけれど、サン・マルコ寺院の中に『キチンと』入ったことは無い。初めて訪れた2004年のカーニバルの時、入ったのは2階の博物館だけだった。ちょうど、寺院では、ミサが行われていたので、一般客は中には入れず、辛うじて博物館だけは入場できた。寺院の2階にある博物館からは、内部の天井のモザイクなども一部見れたけれども、下で行われているミサの邪魔をしないようにと気を使っていたので、覗き込むようには見ることが出来なかった(一応、私でも気を使うのです)。だから、展示物の記憶はあっても、モザイクの記憶は一切ないに等しい。そんな風ではあるけれど、あの長蛇の列を見ると、またそのうちヴェネツィアには来るからいくらでもチャンスはあるだろうと思い諦め、そのままドゥカーレ宮殿へと向かった。

ブックショップにて
9時を少し過ぎたばかりだったけれど、すでにチケット売り場は開いていた。へぇ〜、たまには時間キッカリに開けるんだなぁと思った。2004年の時は団体客が長蛇の列を作っていたけれど、今回は全くなし。拍子抜けするほどだった。

買ってきた写真集チケットを買って、売店の本を見始めた。今回は絶対にヴェネツィアの写真集を買って帰ると心に決めていた。カーニバルの写真集もあったけれども、それよりも、何気ない景色などの方に心惹かれた日本語表記のものは無いので、英語のを探したらようやく1冊あった。ラッキーな事に(?)イタリア語との併記。いつかイタリア語が上達したら、読むには丁度いいかもしれない。カナル・グランデ沿いにある数々の館の写真集もあった。かなり大きく厚手の写真集だったけれど、これは何がなんでも買うと決めた。館の内部の写真も収めてあり、また、館のエピソードなども書いてあったのだ。こちらは英語表記の写真集。読みこなすには辞書が必要かもしれないけれど、まずは写真を見るだけでも十分に楽しめる。日本に帰ってから眺めるのが楽しみになってきた。
買ってきた絵本更にヴェネツィアの案内の絵本も発見。ページが横に拡がったり、上に拡がったりと面白い仕掛け。中身は簡単なイタリア語なので、ニュアンスで意味は判る。これは本当は2冊欲しかった。しかし1冊しか無かったので、『自分用に』買ってきた。他にも色々とあったけれど、一度に全部買い込むことは無いし、あまり増えると重くなるだけなので、適当に断念今後、イタリアへ行く度に少しずつ本を買ってこようと思っている。(買ってきた本の詳細は「イタリアで買ってきた本」をご覧ください)

買った本はビニールの大きな袋に入れてくれた。母は本が重たいので、破けてしまうのでは?と心配している。一旦、中庭へ出たけれど、見ている最中に破けてしまったら大変だ。そこで、私だけブックショップに戻り、コンパクトに畳める袋を買ってきた。レインコートなどに使われるのと同じような生地で出来ている。折り畳んで小さな専用の小袋に入れると5cm × 10cmくらいになって片手にスッポリと収まる大きさで、有翼の獅子の絵が小さく印刷してあった。この袋は今後便利に活躍するかもしれない。

総督の館
中庭に再び出ると、日本人団体客の一団が入っていた。かなり賑やかめだったので、一緒にならないことを祈った。折角楽しみにしてじっくり見ようと思っていても、周りの人々でそれは簡単に壊されてしまうからだ。特に日本の団体の場合は、興味がなくても否応なく日程に組まれているので、しぶしぶ一緒に見ている人も多いようだ。彼らをやり過ごすために、トイレへ入ることにした。時間が限られている彼らは、見学場所もショートカットしてザッとしか見ない。少しタイミングをずらせば、静かに心置きなく見れる。それに、一旦見始めてしまうと、簡単にトイレにも行くことは出来ない。日本と違ってアチコチにトイレがあるわけでもないので、念のため行っておくことにした。

矢印に従って見学ルートを歩いた。内部は撮影禁止。このドゥカーレ宮殿は、歴代の総督の館であり、ヴェネツィア共和国の政府、官庁、裁判所、牢獄と権力の全てを兼ね備えた場所でもあった。だから黄金階段を始めとして、内部の装飾は贅を尽くしている。階段と言えども決して『普通ではない』装飾なのである。どの部屋にも大きな絵画が天井にもある。法廷であって、国会であって、総督の謁見の場所でもあるのに、中は美術館さながらに、美術品に埋め尽くされているのだ。ともかく、見事としか言い様がなく、じっくりと見たら1日では足りない程でもある。

早朝の散歩でかなり歩いていた私は途中で大分疲れてきてしまった。でも、ここは他の美術館などと違って、座りながら見る場所は殆どなかった。大評議の間に辿り着いて、やっと壁際に腰をかけることが出来た。この部屋の絵、ティントレット作の『天国』の大きさには初めて見る人間は度肝を抜かれると思う。あの大きな絵を仕上げるのにいったいどのくらいの時間を要したのだろう?それだけではない。天井にもビッシリと絵が飾られ、周囲の壁は歴代の総督たちの肖像画が掲げられている。そして自分が座っている壁際の頭上にも所狭しと絵が掲げられているのだ。「これでもか?これでもか!」ってくらいの富を感じさせられる。海運王国ヴェネツィアならではの富の象徴でもあった総督の館。母もあっけに取られたように見入っていた。

あちこちの間を案内順にさまよい歩き続け、『溜息の橋』まで辿り着いた。外から見ると豪華な彫刻のある橋だけれど、内部は牢獄に繋がる橋でもあるので、実に素っ気ない造り。まるで洞窟へ入っていくかのようだった。小さな窓があって、そこから見えるのがこの世の最後の眺めとなる景色が僅かに見えるだけ。それも現代のような無色透明なガラスではないし、牢獄へ向かう囚人たちの目は涙でいっぱいだったろうから、ろくに見えなかったに違いない。順路は牢獄の中も行くように示してあったけれども、全部を歩き続けるほどの元気はないので、橋から外を眺めただけで引き返すことにした。見学ルートを勝手に変更したので、途中仕切りとしてポールが置いてあったところを、すり抜けて中庭へ、やっと出ることが出来た。
巨人の階段私はドゥカーレ宮殿は2回目だというのに、まともに出ることがどうも出来ないでいる
。次回こそはキチンと最初から最後まで歩き続けてみようと思っている。
中庭にある『巨人の階段』は使用禁止となっていて、柵が置いてある。とりあえず写真だけ写して、布告門から、サン・マルコ広場へと出た。

カフェ・フローリアンにて
広場へ出たとたんに長蛇の列にぶつかる。うわ〜!物凄く長くなっている。これでは諦めるしかない。中を見たいのはやまやまだけれども、どのくらい待てば入れるのかはサッパリ予測がつかないからだ。歩き疲れたし、小腹も空いたので、またもやカフェでマッタリと過ごすことにした。昼間は広場の南側のカフェ・フローリアンが日影になる。前日はカフェ・クワドリに入ったので、これで有名な老舗カフェをどちらも制覇したことになる(笑)。丁度、生演奏も始まっていた。真っ正面には日本人の団体客が数人座っていた(バッジを目立つところに着けていたので判ったのです)。足元に大きなお土産の袋を置いている。多くのツアーはヴェネツィア滞在時間が短いので、お茶しているツアーの人を見かけるのは珍しい事だと思って見ていた。テーブルの上には、パフェやアイスチョコレート。混み入ったオーダーが出来る人(語学の達者な人)がいるのかな?と少し興味を引いた。あちらも私達親子のことは見ていないふりをしながら、しっかりと見ていた。音楽を聴きたいから近くに行きたくもあったけれど、そばに行けば日本語もイヤでも耳に入ってくる。折角だからイタリア情緒を味わいたいので、少し離れて座ることにした。

カメリエーレ(ウェイター)に合図をして席に着くと、すぐにメニューを持ってきてくれた。メニューを開くと、一部写真付きになっているあら〜!進歩したと言うかなんて言うか…。ん?この写真はあちらが食べているものと同じじゃない!そ〜か〜!喋れなくても写真があれば指差せばいいんだなぁ。納得。母にもメニューを見せる。母も暑いので、冷たいものが食べたいという。でも、同じメニューのものは食べたくないと私と同じ考え(笑)。なんせ「みんなと一緒」ってことが大嫌いな親子なのである(苦笑)。
ジェラート盛合せ。美味しかった〜!じゃぁ、ジェラートにしましょうということに…。なんの種類があるか見ていたら、3種類の盛合せが出来るとのこと。母に読んで聞かせて、3つ選ばせた。私も3つ選んでから、カメリエーレを呼んだ。こういう場合、なんて言えばよいのかしら?って思い、一瞬悩んだけど、なんとか注文出来た。母はバニラとチョコとレモン。私はピスタチオ、苺、レモン。どんな風に出てくるのか楽しみだった。

バイオリンを弾いています暫くして、店内からカメリエーレが出てくるのを見つけた。お!ジェラートの盛合せを2つ持っている。あれって私達のオーダーした分?と思ってワクワクしながら見つめていたら、やっぱりそうだった。ちゃんと間違いなく頼んだ通りの盛合せだ。まぁ、あちらはプロなので間違いのないのは当然と言えば当然だけど、私の語学力の拙さの方が問題だったのだ。溶けないうちに、HP用に写真を写してから食べ始める。ん〜〜!美味しい〜!味覚(ジェラートを食べている)、聴覚(生演奏を聴いている)、視覚(サン・マルコ広場を眺めている)が満たされて、なんとも幸せ〜!ん?カメリエーレの1人が演奏中の人を携帯で写真撮っている。写してもらった人は曲と曲との合間に送信していた。やっぱり、老舗カフェで演奏しているってことも自慢なんだろうなぁ。

ジェラートを味わいながら人間ウオッチング。斜め後ろのテーブルでは、若いお兄ちゃん2人が、冷やしたワインをチビチビと飲みながらクッキーを頬張っている。なんとなく妙な組み合わせだけど、イケメンなので許せる(笑)。別のテーブルでは、女の子の双子と弟、赤ちゃんと子供を4人連れたご夫婦。最初は静かにしていた双子も、席を立って広場中央へと走っていった。そのうち、鳩を捕まえてテーブルに戻ってきて、そこで鳩を放すものだから、たまったものじゃない。それにしても鳩ってトロいのねぇ。3つかそこいらの子供に簡単に捕まえられちゃうなんて。そうかと思うと曲に合わせて踊るカップルもいた。そのうち「ギャ!」って声がしたのでそちらに振り向くと、アーケードの壁の真下に立っていた人が鳩の糞害を頭に受けていた。うわ〜!最悪!あんなところに立っていると危ないって気がつかなかったのねぇ。。拭いても気持ち悪いだろうなぁ。ともかく、こんなふうなので、特にお喋りもしなくても、音楽を聴きながら楽しめた。

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